方舟 - しりあがり寿


終わり方がいい。
ひとりひとり、静かに消えていってあとは水の流れだけがあるっていうのは、
音楽は鳴りつづけているのに誰もいなくなってしまった明け方のパーティ会場みたい。


この人のまんがで好きなのが他にもあって、確かVOWかなんかに
載ってたやつなんだけど、タイトルが思い出せない。そもそもタイトルなんてあったかな?


ストーリーはこんな↓感じ。
カップルがいて、それがどういう経緯だったか市街戦に参戦して、
それぞれが敵対することになる。
(で、戦うとき、みんななんか動物の着ぐるみみたいなのを着ている)
双方壊滅状態になったときに、↑のカップルはたまたま出会い、
男が女をおんぶして歩きながら言う。「退屈だから家に帰ってビデオでもみようか」

このせりふ、とっても印象的だった。

破壊されつくした街を背景に、「退屈だから家でビデオ」っていうのがいい。


「破壊された街」っていうのが与件としてあって、そこで「退屈だから」っていわれると、「え?退屈なの?」っていうのがまず最初の反応。次いで「壊滅」を「退屈」ととらえざるをえない精神への同調が起きる。こういうふうに意表をつかれると、それにのって自分の精神がのびのび運動できる感じがするね。


ってこんなに書きながら、ストーリを間違って覚えてたらどうしよう。