西行(菅 創吉)

この絵のたたずまいに心を打たれる。 菅 創吉[すが そうきち](1905-0982) 兵庫県姫路市出身。1963年に渡米。ロスアンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークで制作と発表を重ね、油彩や立体作品などを通して、その東洋性とユーモアあふれる表現は高い評…

戦争シーンの再生産 ― "Grandma's tales" by Andrew Lam

Sudden Fiction (Continued): 60 New Short-Short Stories (Religion)作者: Robert Shapard,James Thomas出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc発売日: 1996/06/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る これも読んで損…

 'I'の訳し方

会話文のなかの'I'をそのまま「私」「僕」「俺」…と訳すと違和感を生じさせることがある。たとえば、お母さんから子供へのせりふでは、英語では'I'でも訳すときには「お母さんはね」とするとかもしくはそっくり省くとかしたほうが、日本語として座りがいい。

 ありますか、ありませんか、これは質問です。

2chの文学板をみて遊んでいると、あるスレッドでHamlet名文句がおもしろく訳されていた。 「生きるか、死ぬか、それが問題だ」 ― "To be or not to be, this is the problem" ― 「ありますか、ありませんか、これは質問です」 瞬時に、あの重々しい場面で「…

親切?いじわる?手紙がもっていかれてしまった - "Collectors"(Raymond Carver)

『翻訳夜話 (文春新書)』所収の短篇。私は柴田訳の方が淡々としていて好きです。 短篇として流れがいいよなぁと、ほれぼれ。 無駄な要素が一つもない。タイトルどおり、「集める」というのがキー。 失業中の男、採用通知が届くのをひたすら待っている そこへ…

 高野山詣で

高野山に行ってきて「赤松院」という宿坊に泊まった。 観光地だから当然、観光客でにぎわいをみせていたが、それでも、さすが「霊場」というだけあって凛とした空気がすがすがしかった。 「生かせ、いのち」という言葉が空海(弘法大師)の教えの精髄だという…

結局、解はない ― 『翻訳夜話』(村上春樹・柴田元幸)

翻訳夜話 (文春新書)作者: 村上春樹,柴田元幸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2000/10/20メディア: 新書購入: 13人 クリック: 95回この商品を含むブログ (171件) を見る 村上春樹・柴田元幸が翻訳についての思い入れを語った本。 読み応えあり。 なかでも…

Pulling the truth out of the Darkness (on "A Temporary Matter" by Jhumpa Lahiri)

Interpreter of Maladies作者: Jhumpa Lahiri出版社/メーカー: Mariner Books発売日: 1999/06/01メディア: ペーパーバック クリック: 9回この商品を含むブログ (9件) を見る Recently I have been reading immigrant-culture-based literature as those book…

 松山の「坊ちゃん」産業

今日の『生活ほっとモーニング』 http://www.nhk.or.jp/hot/ がおもしろすぎた。 タイトルは、 「にっぽん体感こだわり旅 〜江川達也さんと行く 松山・文学散歩」 で、内容は、漱石の『坊っちゃん (岩波文庫)』にでてきた場所を中心に文学散歩をしようという…

 日本語シソーラスを買った

日本語のシソーラスを買いました。1万5千円はイタイ (>_ これが一人の仕事だというから驚き。偉業です。脱帽です。 著者の山口翼(たすく)さんに感謝です。 日本語大シソーラス―類語検索大辞典―作者: 山口翼出版社/メーカー: 大修館書店発売日: 2003/09/06…

 さおだけ屋はつぶれてるんだってば!!ってお父さんが...

父(経済人)に教えてあげた。 「ねー、最近、若い会計士が書いた『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学(ISBN:4334032915)』って本、すごい売れてるんだって」 で、父の答え「はぁ?つぶれてるよ、どんどん」 2005/11/05 追記 htt…

 gVimとjVim

深い話ではありません。gVimだと文字化けしたからjVimにしたというそれだけの話。 日本語を大量に入力する機会があってやっぱりエディタはVI系がよいと思い、GVim for Japanese Windows(http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/writing/se117961.html)って…

 BS笑点

BS笑点のほうがふつうの笑点よりおもしろいんだから、 放送時間を交換してほしい。

『ストレスの海』という新作落語

10/26、春風亭昇太の新作落語を見に行ってきて笑った。タイトルは「ストレスの海」で、すがすがしい不条理落語。「不条理」と「すがすがしさ」が結びつくのが新鮮で爽快だった。 登場人物は夫婦で、構成はこんな感じ。 奥さん、ストレスのおそろしさを本で知…

『ベストセラーはこうして生まれる(ベッツィ・レーナー)』読了

ベストセラーはこうして生まれる―名編集者からのアドバイス作者: ベッツィレーナー,土井良子出版社/メーカー: 松柏社発売日: 2005/06メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る 文学好きにはおすすめの良書。ベストセラーを書いて一…

障子をあけて本を読んでいると、つやつやした秋の光が紙の肌理をひろってとても綺麗だ。野焼きのにおい、一時間に一本とおる単線電車の音。こんな時間がずっと続けばいい。

『池澤夏樹 アジアの感情』読了

『池澤夏樹 アジアの感情』(新井敏記) 読了池澤夏樹 アジアの感情 (スイッチライブラリー)作者: 新井敏記出版社/メーカー: スイッチパブリッシング発売日: 2002/09/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 内容が刺激的かというと、どうかな…

庭のキンモクセイがいい香り。雨がふりはじめていっそう香りが強くなった。 中国語では「頭が固い」のことを「死脳筋」というらしい。生々しい語感でおもしろい。

『カイマナヒラの家―Hawaiian Sketches』読了

『カイマナヒラの家―Hawaiian Sketches』(池澤夏樹, 芝田満之) 読了カイマナヒラの家作者: 池澤夏樹,芝田満之出版社/メーカー: ホーム社発売日: 2001/03/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 舞台はハワイ。『カイマナヒラの家』という古…

 中国語のおもしろさ

上海に行ってきて以来、中国語を習っている。 表意文字である漢字ならではのおもしろみを味わえるのは、日本人中国語学習者の特権。 たとえば、フライトアテンダントは「空中小姐」。文字をみるたびに空飛ぶお姉さんを想像してしまう。

天気は「暑さ寒さも彼岸まで」を遵守。 彼岸連休に帰省するために走って電車に飛び乗ったら、あまりの暑さで気分が悪くなった。彼岸をすぎると一転して、なんですか、この肌寒さは。寝冷えをしてしまいました。 いままでよく飲んでたのはハスの葉茶で、これ…

で、風はふいてたの?ふいてなかったの? The wind was dead against me.

クイズ - 風はふいてたの?ふいてなかったの? The wind was dead against me. 意味の正解はどちらでしょうか。 A)私は無風状態のなかにいた B)風が真っ向から私に吹きつけていた 答えは、Bの「風が真っ向から私に吹きつけていた」のほう。 風はふいていた…

言文一致運動って何だったの?(調べた経緯)

座談会明治・大正文学史 (1) (岩波現代文庫―文芸)作者: 柳田泉,勝本清一郎,猪野謙二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/01/14メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (6件) を見る 「言文一致運動」が何だった知りたくて、↑本のうちの「『新…

久々の晴れだ。東山まで散歩にいこう。で、お茶を飲んでこよう。 そろそろ花見の季節で、この時期になると、また、落語の花見ネタがききたくなる。 「長屋の花見」や「花見のあだ討ち」など。 来週から中国に行くので、その準備をしながら「花見のあだ討ち」…

「早稲田文学」フリーペーパーに

◆「早稲田文学」フリーペーパーに(3/18 02:03) ← 讀賣オンラインより 本記事は↓ http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20050317it17.htm 早稲田文学のサイトは↓ http://www.bungaku.net/wasebun/ フリーペーパー化の原因は財政事情。 なんといっても↓の原…

『ちぐはぐな身体-ファッションって何?』(鷲田清一)− 人はなぜ服を着るのか

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)作者: 鷲田清一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/01/01メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 256回この商品を含むブログ (73件) を見る とっても読みやすい身体論・ファッション論。おもしろかったので…

オークションデビュー。素敵な。

アジカンのチケット、1枚しかいらなかったのに2枚も手にはいっちゃって 1枚売ろうと思った。それで、もうあまり日がないからちょっと焦ってて楽天オークション+チケット売買BBSという2つのチャネルで買い手をつのった。 そうすると、おんなじ人(仮に田中さ…

『北川はぼくに』(田中小実昌)− 戦場にも日常がある

ポロポロ (河出文庫)作者: 田中小実昌出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/08/05メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 35回この商品を含むブログ (62件) を見る 戦場にも日常があることをあらためて知る。 ある出来事をめぐって、緊張感がギリギリと高…

昨日、ランチにイタリアンのコースを食べた。 途中、三人連れのお客さんがはいってきて、一番値のはるコースをたのんでいた。どうみても全員が10代の男の子で、若干、この店の客層からは外れてるな、と思いつつ食べていると、時折おしゃべりが聞こえてくる。…

朝のラジオ − 「日本にー、楽土をー、出現せしめんとー、」 ((((((;゜Д゜))))))

仕事に汚染される前の頭で本が読みたいと思い、早起きを決意。 で、今朝 5:25。タイマーをセットしてあったのでラジオのスイッチがはいった。 「あ、そんな時間か。」と思いつつ、聞こえてきたのは演説調でうったえかける男の切実な大声。 「われわれはー、…