『コーリング』(赤坂真理)− 痛い!


リストカットをする女の子が主人公。読んでてとにかく痛い!ってのは、別に存在がイタイっていってるわけではなく、ほんとに自分の皮膚が切れてくような感じがして痛いということ。赤坂真理の小説って描写がリアルだから、主人公が自分の皮膚を切り刻むところを読んでると、私の皮膚まで本当に傷ついていくような気がする。なんか自分まで痛くなってきて、手首や手のひらをさすりながら読みました。


だいたい私は採血とか注射とかでさえ怖い。それなのに、ちゃんとこれを最後まで読めたのは、主人公がどうなるかやっぱり気になったから。


小説がはじまって間もないうちに、主人公はこんなことを考える。「いままで死にたいって思ったこともあるけど、よく考えてみれば、本気で死にたいと思ったことなんて一度もなかった。」(大意)それからこんなことも。「好きな人に、自分が血を流しているところを見ていてほしい。でもこんな希望が当人にばれたら、私は狂人として捨てられてしまう。」(大意)


主人公は上記のように自分の状況を捉えている。その捉え方を介して、私は主人公に共感するための通路をもてたと思う。主人公がもしも、常軌を逸していることそのものに自分の存在意義を見出すような自己陶酔型の人間だったら、私は読むのをすぐやめてだだろうな。