『プレーンソング』 (保坂和志)

プレーンソング (中公文庫)

プレーンソング (中公文庫)

  • 言葉は、たった3割


『プレーンソング』を読みながらこんな話を思い出した。


人間が対面で話をしているときに、何が情報源になっているか。
確か、コミュニケーションで言葉が担う役割って案外少なくて、
話をしてるときに人間が処理する情報の総体のうち、
たったの3割だったはず。あとの7割は確か、ボディラングエジとか、
相手の表情、声のトーンだったかな。


『プレーンソング』では台詞の周辺の情報が結構詳しく書かれてて、
あ、こういうのってもしかしてめずらしいのかなと思った。
たとえば、発話者の言いっぷりとか。しぐさとか。


せりふといえば、最近の小説ではテンポよく話を進めるために会話内容のみで
発言が連続するのが主流だと(勝手に)思ってたので
新鮮だと思った。


考えてみれば、台本なんかは「せりふ」「せりふ」「せりふ」の連続だけど、
余白は、役者の所作や声のトーンで埋められる。
だから、小説で、「せりふ」「せりふ」「せりふ」だけにするのは、
その場の情報の総体の3割しか復元しないという点でもったいないのかもしれない。


それから、言い間違えから話がそれていくって状況も確か書かれてたけど
それも、現実の会話のありかたと似てるって思った。