[感想]『若きウェルテルの悩み』= ストーカー小説
- 作者: ゲーテ,高橋義孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/03/02
- メディア: 文庫
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- 作者: ロラン・バルト,三好郁朗
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1980/09/25
- メディア: 単行本
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つーかウェルテル、ストーカー以外のなにものでもないよね。今のことばでいうと。
せっかくの作品をストーカー小説なんてことに集約しちゃうのももったいないけど。
最近までバルトの『恋愛のディスクール』を読んでたのでその流れで『ウェルテル』を手にとった。読むのは多分これで2度目か3度目だけど、ロッテってつまんなさそーな女だなってのは相変わらずの印象。ロッテの婚約者のアルベルトはこれまた凡庸だから、結局はこの二人、似合いのカップルなんだよ。とはいえ、最初のうちはロッテつまんねーなと思いながら読んでたものの、ウェルテルがストーカーちっくになりはじめてからは、さすがにちょっと気の毒に。
だってウェルテルがロッテ宛てに遺した手紙、こんな残酷な手紙はないよ。大意は「僕はあなたの犠牲になって死んでいきます。あなたが渡してくれた拳銃で僕は命を絶ちます。」
しかもこの手紙、クリスマスの日にロッテのもとに届くという算段。
これは復讐ですか…
そのロッテは、ウェルテルの身に死が近づきつつあるのをうすうす感じながらも、結局は自分の保身に気をとられて、動揺を夫に気づかれまいと心をくだくばかり。
ウェルテルは果たして本当にちゃんとロッテのこと、みてたんだろうか。夢見るひとだから、ロッテの姿に触発されて自分で創りあげた幻想の人を思慕していたんだろうな。これぞ片想いなんだろうけど。
で、ロッテが自分の保身のことしか考えてないのは前述のとおり。時代背景とか考慮して、ロッテにもっとやさしい評価してやんないといけないのかなー。
本当は自分のことしか考えていない二人が、いかに自分が相手のことを考えているか演出しあう小説。
私は一度読んだ本でも何度も読み返すけど、これはもうこれっきり読まないかもな。後半がみにくすぎて。ウェルテルがみせる片想いの人独特の所作(バルト流にいえば"フィギュール")は微笑ましい(ときどき身につまされる)が。